代表取締役 市川浩也
2016年9月まで消防団員として地域防災に貢献。2014年に消防団の改革を目的とする京都市U-35 100人委員会を経て、消防団強化実行チームにて京都市政に従事。自身の起業・経営経験を基に消防職団員を豊かにする事業をスタート。

2015年創業
2015年京都市の消防委員会に従事
「消防団を中核 とした地域防災力の充実強化に関する法律
(平成 25年法律第110号)に基づく消防団強化実行チーム」
2015年京都市長賞受賞
2016年京都信用金庫起業家大賞受賞
2017年京都市消防局署長賞受賞
2018年株式会社タヌキテック 代表取締役



防 災 へ の 想 い

「防災情報を見える化し、共有する機会を創出」緊急時情報の知識と判断力の向上は日ごろの意識と学ぶ機会の創出が大切です。判断力の向上には実践的な訓練やケースバイケースの事例などを市民が触れる機会を設け、ICTを活用した「知る機会」と「学ぶ機会」を提案していきます。緊急時には判断の予測をサポートするICT機器の開発も検討をしています。



災 害 現 場 の 経 験 、 そ し て . . .

消防団員時代に火災により亡くなられた現場、鉄道の人身事故や自殺者など悲惨な現場を経験してきました。私自身は消火活動や屋内検索による要救助者の救出により京都市消防局下京消防署署長より表彰をいただいた経験もありますが、災害現場で感じた気持ちやご遺族、ご家族の姿は筆舌に尽くし難いのです。私はよく消防団仲間や消防団強化実行チームの当時の仲間に「熱すぎる」と良い意味でも悪い意味でも言われます。これは私自身に起業家精神があることに加え、災害現場での経験が社会の課題に対して何かしらの義務を感じるきっかけになったと思います。そして、自分の経営経験から「防災をビジネスにすることで防災を持続可能なものにアップデートできれば、社会に貢献できるのではないか」「防災を日本の新しいメイドインジャパンとして世界へも貢献できるのではないか」と考え、起業経験や現役の経営者、当時の自社の社員や外注先さまを集めてこの株式会社タヌキテックを設立しました。サービスをリリースして間もなく、消防業界で世界最大組織の東京消防庁との契約も決まりました。システムの今後の可能性を感じながら営業と品質向上を一丸となって取り組んで国内や世界を飛び回る中で、私は東北のある沿岸部の地方自治体にシステムの質疑について呼ばれました。そして、そこで見た「キレイな役場」「 キレイな 郵便局」「 キレイな 駅」「 キレイな ホテル」の新市街地と造成された堤防の奥で海まで広がる旧市街地を見て、これほどまでにキレイという言葉に嫌悪感を覚えた事はありませんでした。

2019年5月 福島県相馬地方で撮影



3 . 1 1 で の 消 防 団 員 の 殉 職

震災当時、私は消防団員2年目でした。当時、何も出来ない自分と報道で見る惨状に無力感を感じました。震災では住民の避難誘導や救助、水門の閉鎖など活動中の消防団員254名が殉職しましたが、もし当時に消防団アプリがあればパケット通信を活用することで緊急退避指示が伝達していたとすれば、彼らは殉職しなかったのではないか。私が東北で感じた気持ちは、この事業について一人兜の緒を締めて覚悟しました。そして、すぐに社内で共有し、今日では弊社に関わる1人1人が熱い想いと、未来を守る想いを持って取り組んでおります。



「 新 し い メ イ ド イ ン ジ ャ パ ン と し て の 防 災 」

私は「消防団による救助トリアージの有効性」と「ICTを活用したスマート消防団」を提唱しており、その地域で生活を営む消防団員は「地の利」という消防にとって、最も大切な知識を有しています。大規模災害時には、SNSなどの救助情報や消防ドローンの偵察状況を適切に整理し、「人の目」と「AIの処理」の連携により被災状況を把握する事で、現場での生存者の緊急確認や軽度な事案であれば消防団が迅速な活動を行うことが有効的だと考えております。これらの情報を整理、指令、指揮機能、地図情報と災害情報の見える化などのICTを活用した防災として機能を実装した消防団アプリの導入により消防隊と消防団の活動を具体的にサポートできる可能性が高いです。また、消防委員会の際の経験や防災に関心が強い超党派議員、知事市長や中央省庁へ消防団のICT活用と教育水準の全国統一による強化を提唱しており、第一段階として消防団連絡網の整備、第二段階として消防団の全国水準となる訓練基準の制定、そして防災モデル都市、防災首都の構築について働きかけており、弊社の事業成長だけでなく、防災の市場創出、日本の危機管理、防災の産業化を目指しております。当事業には無限の可能性と人々が願う安心安全な社会の実現という可能性を秘めております。

防災エコシステムの黎明期となる現在のシステム相関図



未 来 へ の 想 い

誰もが安心して暮らせる社会の実現。社会には様々な人が居て、夢を追いかける人、起業する人、スポーツ選手になる人、会社員の人、農業の人、漁業の人、商店の人、アーティストになる人、様々です。そしてその人たちには大切な人が居ます。その人たちが笑顔で、怒って、時に悲しい表情でお別れしたのが最後だったならば。人の命を1名救うことが出来れば多くの人が助けられます。私は「未来的な防災エコシステムの確立」こそ未来へつながる防災だと確信しており、最近では「地域創生」や「地産地消」など「地域デザイン」と「地域のエコシステム」を提案するベンチャー企業が増えています。私たち、株式会社タヌキテックはその地域デザインを安全・防災の概念から実践する活動をするのも、これも広義には地域デザインの一つだと認識をしており、弊社はSDGs持続可能な開発目標の達成に向けて取り組みます。また、それらに関わる人たちを守る事でこれらを達成し、ICTを活用した防災により防災エコシステムを形成することで誰もが安心安全な社会を目指します。これも地域デザイン、地域創生、持続可能な開発目標の一つとして捉えており、すべては未来へ続く為の新しい取り組みの事業です。

株式会社タヌキテック 代表取締役 市川浩也